令和元年6月1日
清々しい初夏を迎え、木々の緑も日増しに深くなってまいりました。
もう間もなくすると、鬱陶しい梅雨の季節に入り、外に出る機会も少なくなるかもしれませんね。高齢になると、家の中でも転倒や骨折のリスクが高まります。これは、加齢とともに筋力が低下し、歩くときなどに足が上がらなくなって転倒しやすくなることに加え、骨ももろくなっていくためです。寝たきりなどの大きな障害につながりやすくなります。さらに透析患者はさらに骨が弱く骨折しやすいのです。
【1】腎機能が低下すると、尿中へのリンの排泄が十分に行えないため、体にリンが溜まりやすくなります。
【2】リン(P)とカルシウム(Ca)は密接な関係を持っており、血液中のリンが増えると、食物中のカルシウムを腸から吸収する働きを抑えて、血液中のカルシウムを減らす仕組みがあります。
【3】血液中のカルシウムが減少しすぎると、逆に体は血液中のカルシウムを上げようとします。副甲状腺という器官から、PTHというホルモンが分泌され、骨からカルシウムを分解して(骨吸収)、血液中のカルシウムを補おうとします。
【4】このような状態が続くと、血液中のカルシウムが増えていてもPTHの分泌が続くようになります。これを、二次性甲状腺機能亢進症といいます。二次性副甲状腺機能亢進症になると、骨吸収が進んで骨密度が低下します。透析患者さんは、このようにして骨密度が低下することなどにより、骨折しやすくなります。
転倒によって骨折が起こりやすい部位は、太ももの付け根や背骨、腕の付け根、手首などです。このうち「太ももの付け根」は、骨折すると歩けなくなったり寝たきりになったりする可能性が高くなります。
ご自宅の様子を思い浮かべながら確認し、少しでも転倒・骨折のリスクを減らしましょう。
- 床の上にリモコンやチラシなどが散らかっており、滑ったり、つまずきやすくなっていませんか?
- 絨毯やカーペットの端はめくれ上がっていませんか?
- 足に引っ掛かりやすい電化製品のコードはまとまっていますか?
- スリッパや靴下で滑りやすくなっていませんか?
「患者様第一」を心がけ、質の高い医療を提供すべく、診療に遺漏無きよう努めてまいります。何卒よろしくお願いいたします。
医療法人社団 茅ヶ崎セントラルクリニック
院長 仙賀 裕